【食道静脈瘤】
食道の(または胃)の表層の静脈が拡張し、コブ状になったものです。
原因は「門脈系」の血管内の圧力の上昇です。
「門脈」という言葉は聞きなれないと思います。
「門脈」とは腸管から肝臓に向かって流れる血管系で、「動脈」や「静脈」とは別回路として存在します。
門脈の圧力が高まった状態を、「門脈圧亢進症」といいますが、その原因の90%以上は肝硬変症です。
ですので、「食道静脈瘤は肝硬変症が原因」のことがほとんどだと言えますね。
食道静脈瘤の唯一の症状は、吐血および下血です。
他に症状を呈することは非常にまれです。
ですので、ひと昔前までは破裂してから初めて存在に気が付くことも多くありました。
「隣のおじいちゃんは、酒飲みでね。突然に血を吐いて亡くなった」などの話はこの静脈瘤が原因の可能性が高いわけです。
ひとたび破裂すると、致命的になることもありますので肝機能が悪いひとは定期的な内視鏡検査(胃カメラ)は必須と言えます。
太い静脈瘤など、破裂の危険があると判断された場合は破裂する前に、内視鏡での治療を行うことになります。
(内視鏡的静脈瘤結紮術、内視鏡的静脈瘤硬化療法など)