【機能性ディスペプシア】
不快な上腹部症状があるが、内視鏡検査(胃カメラ)や血液検査、エコー検査などでは異常が認められない状態をいいます。
よくある症状
食後の胃もたれ、腹部膨満感、心窩部痛(胃の痛み)、心窩部灼熱感(胸やけ)です。
機能性ディスペプシアは、消化管の運動機能異常や胃酸への知覚過敏などが一因であると考えられています。また社会的ストレスも増悪因子とされます。
最近になって、やっと注目をされるようになった病態です。
これまでの日本の医療は、腹部でいえば、胃がんや胃潰瘍に代表されるような、生命維持に直結する病気にのみ対応し、注力してきました。
機能性ディスペプシアのような機能性疾患による、患者さんの生活の質の低下(QOL低下)までは対応する余裕がなかったのかもしれません。
診断および治療
まずは内視鏡検査(胃カメラ)や腹部超音波検査などで胃潰瘍や胆石症などの器質的な疾患を除外します。
ここでもH.pyloriが問題になります。H.pyloriの現行感染の有無を調べて、陽性であれば除菌療法を行います。
それでも症状が軽減・消失しない場合は「機能性ディスペプシア」として内服加療を行います。
最近では「アコファイド」など機能性ディスペプシアに向けての薬剤もあります。また、漢方薬を使用する場面も多く経験します。