【憩室出血】
突然の大量下血として症状が現れます。
下痢のときのような腹痛はみとめることがありますが、出血が収まってしまえば痛みも伴いません。
憩室症の際に述べた「vasa recta」といわれる小動脈の破綻による出血だと考えられています。
憩室出血の診断は、意外と困難なものです。憩室出血は間欠泉のように、出血と止血を繰り返すことが知られています。
また元来、大腸は便をためることも可能な臓器であります。当然ながら出血した血液もある程度はためておくわけです。
この2点が事態をやっかいにします。
「おしりから血が出ている」=「憩室からの出血が持続している」とは限らないわけです。
憩室出血を疑った際の検査として、大腸カメラ(下部消化管内視鏡)や造影CT、施設によっては出血シンチグラフィーなどを行います。
いずれの検査でも、憩室から血が出てるところを「現行犯逮捕」しない限りは、その出血が憩室からの出血であったとはいえないわけです。状況証拠のみでは「憩室出血の疑い」までです。そのような事情もあり、出血部位の検出率は50%を切るとの報告もあります。
ただし、出血が起こり始めてから、経過時間が短いほど、各検査での出血部位の検出率は上昇するとも報告されています。
肛門からの出血が多めにあった際には出来るだけ早急に医療機関を受診するようにしたほうがいいでしょう。
憩室出血の治療
日本では内視鏡を使用して止血術を行うことがほとんどです。ごくまれですが、大出血を起していて内視鏡では止血できない場合があります。
そのような大出血の際や、内視鏡の止血後も頻回に出血をくりかえすときなどはカテーテル治療(動脈塞栓術)や外科的切除(腸管ごと切除する手術)を行うこともあります。
一時的には派手な出血を起こす憩室出血ですが、70-80%は自然に止血することや本当に重篤な出血に発展するものは3-5%程度であることも分かっています。