【慢性胃炎】
以前は「上腹部の不快な症状」に対して「慢性胃炎」という病名が頻繁に用いられていました。
具体的には、上腹部痛、上腹部不快感、悪心・嘔吐、胸やけなどの症状です。
「いわゆる慢性胃炎」と呼んでいた病気です。
しかし最近は内視鏡検査(胃カメラ)で確認される、萎縮性胃炎や肥厚性胃炎、腸上皮化生のことを総称して、「慢性胃炎」と呼びます。これには症状の有無は問いません。
またシドニーシステムといって、胃壁の組織検査も含めての慢性胃炎分類もあります。
「いわゆる慢性胃炎」と、今の医療者が使用する「慢性胃炎」は違うのです。
以前の「いわゆる慢性胃炎」には「症状としての胃炎」「内視鏡所見の上での胃炎」「組織学的変化としての胃炎」の3者が混ざっていました。
現在の「慢性胃炎」は「内視鏡所見の上での胃炎」「組織学的変化としての胃炎」を指すようになってきています。
「慢性胃炎」の原因は
大きくはH.pyloriによる慢性胃炎(B型胃炎)と自己免疫機序による慢性胃炎(A型胃炎)に分けられます。
治療についてです。
「慢性胃炎」の治療はH.pyloriの除菌療法が基本となります。
「症状としての胃炎」「いわゆる慢性胃炎」は胃食道逆流症(GERD)や機能性消化器疾患(機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群など)などに診断され、治療が行われるようになっています。