【大腸憩室】
大腸憩室症は、大腸に多数の外向きポケットができたような状態です。
大腸には元々、壁の外から筋肉の隙間を通って内側に向かって「vasa recta」と呼ばれる小動脈が走っています。
その血管が通る孔は、筋層がないわけですから当然、他の部位に比べて脆弱です。
腸管の分節運動などで局所的に腸管の内圧が上昇することが繰り返されることにより壁の脆弱な部分(筋層がない部分)を通って、粘膜と粘膜下層および漿膜が腸管壁の外に押し出された状態が「憩室」です。
欧米ではS状結腸に多く、アジアでは上行結腸(深部)に多いと言われてきました。
大腸憩室症のみでは症状は認めません。ですので憩室が存在するのみでは、特に治療も必要としません。
しかしながら合併症である憩室出血や憩室炎が起これば、話は別です。
またS状結腸に非常に多くの憩室が存在する場合は、憩室の影響で
腸管がやや狭くなることがあります。そのように腸管にせまいところが生じると、便通異常や腹痛、腹部膨満感を引き起こすおとがあります。