【ロタウイルス】
ロタウイルスによる感染性腸炎は冬場の流行性嘔吐下痢症の代表選手です。
前述のノロウイルスと特徴が似ているため、しばしば区別がつきません。
しかしながら、ロタウイルスによる嘔吐下痢には、ノロウイルスとの違いもいくつかあるのです。
ロタウイルスの感染経路は経口感染です。
またウイルス粒子が10-100個程度で感染が成立する、強力な感染力もノロウイルスと同じです。
感染経路についてはノロウイルスと異なり、人から人への接触感染が主ではないかと考えられています。
潜伏期間は24-72時間です。
主な症状は、下痢と嘔吐、そして発熱です。
ノロウイルスに比べて、嘔吐よりも下痢が主症状にあることが多く、その下痢も米のとぎ汁のような白色あるいは黄白色になることがあります。
「白痢」と呼ばれていた時代もありました。症状は乳幼児や高齢者に出現しやすい点も、ノロウイルスとの相違点です。
症状の消退までの期間もノロウイルスに比べて長く、1-2週間ほどかかることもあります。またウイルスの糞便中への排出については、1か月ほど続くこともあり注意が必要と言えます。
ロタウイルスによる嘔吐下痢症の診断です。症状のみでは、他の感染性腸炎と区別することは困難です。
周囲での流行状況なども参考にしますが、ロタウイルスは迅速診断キットでの検査が保険診療で行うことが可能です。
治療です。
残念ながらロタウイルスに対しても特効薬は存在しません。下痢などに対して、対症療法を行うことになります。
ロタウイルスによる下痢は、他の感染性腸炎に比べて重篤なことが多いとされ脱水には特に注意が必要です。
下痢に対しての一般的な対処法は、「よくある症状」の「下痢」の項に記載しています。詳細はこちら>>
消毒薬への感受性です。ロタウイルスはノロウイルスに比べれは消毒薬に反応しやすいことも分かっています。一般的な70%エタノールでも有効と言われています。
また乳児に対しては予防のためのワクチンも存在します。
当院では扱いませんが、気になる人はお近くの小児科クリニックで相談して下さい。