糖尿病診療について
当院では内視鏡系のクリニックではありますが、今後は糖尿病診療にも力を入れていくことになりました。内科診療、生活習慣病診療にも更に幅を広げていって宮城県ならびに仙台市の地域医療に大きく展開をしていく方向性です。特に糖尿病は患者様のQOLにも関わり、なおかつ医療体制において患者負担が目立ってしまう医療領域であり、当院ではそのような実態を改善できるような糖尿病診療を展開していきたいと考えています。
そこで2022年4月よりアークレイ株式会社の「The Lab 001」を導入することに致しました。
「The Lab 001」とは?
「The Lab 001」とは、全国の医療機関に対して「迅速」「信頼」「安心」を約束してくれるアークレイ株式会社が提供する糖尿病検査に特化した最新の検査機器です。従来の糖尿病検査の課題を全て解決し、患者負担を大きく軽減してくれることを目的に開発されました。
従来の糖尿病診療
①検査→結果説明まで1日で完結しない
通常の生活習慣病クリニックでは変異ヘモグロビンなどの検査が院内で行えないため、検査会社に外注をすることになります。そのため糖尿病検査が1日では完結せず、後日結果説明を受けるために再来院する必要があります。
②静脈採血が必要
いわゆる「注射による採血」が必要となり、注射時の痛みにストレスを感じられる方は多いです。この採血が嫌になり糖尿病診療に億劫になられてしまう方もいらっしゃいます。
③医師とのコミュニケーションが減ってしまう
①②の理由に基づき、一般の生活習慣病クリニックでは院内がバタついてしまい(患者様来院回数増加による院内混雑、採血への院内移動など)、患者様と医師が十分なコミュニケーションを取りにくいとも言われています。
「The Lab 001」の特徴
①検査結果が90秒で判明!
従来は後日検査結果説明(外注体制)だったのに対して、「The Lab 001」ではたったの90秒で検査結果が判明します。そのため来院日数は1日で完結し、ストレスなく検査結果をお聞きいただくことが可能です。
②指先採血で対応!
従来の静脈採血に対して、「The Lab 001」では指先の採血のみで終了します。痛みはほぼなく極少量の血液で足りるため、患者様が採血でストレスを感じることはほとんどありません。
③その日のうちに療養指導が可能!
①に伴い、その場で検査結果が出るため必要に応じてその場で療養指導が可能になります。糖尿病の診断を受けた場合にすぐに治療・対策に移れます。
「The Lab 001」は生活習慣病に特化をしたクリニックでさえ導入事例はまだ少なくあまり認知されていませんが、実際に患者様に活用ができると治療対応における患者様の満足度は歴然です。今後糖尿病の診断をされたい方・かかりつけ医を変更されたい方は是非当院へお越しください。
【医療従事者向け】更に詳しく「The Lab 001」を解説
以下は医療従事者の方向けに記載をさせていただく「The Lab 001」のより詳しい説明文章となります。
キャビラリー電気泳動法を用いた技術で高精度な検査を実現
アークレイ社独自の技術によって新開発された試薬カートリッジを活用して実現したキャビラリー電気泳動法(陽イオン交換動電クロマトグラフィー法)により下記が実現できます。
- 弱酸性の緩衝液で、ヘモグロビンを正の電荷にする
- キャビラリーの両側から電圧をかけることで(+)から(ー)へ電気浸透流の速い流れを発生させる
- 擬似固定相を用いることでヘモグロビンの電荷差を拡大させ、短時間かつ短距離(3㎝)で分離が可能
変異ヘモグロビンを分離可能
「The Lab 001」は主要な変異ヘモグロビンやHbFを分離することができます。そのため測定値がこれらの影響を受けることがなく、正確な診療を行えることに繋がります。 また、理論上はHbFが5%を超えるとHbA1c値はNGSPが求める性格さの許容幅(相対5%)を超えてしまい、偽低値化する可能性が出てきます。しかし「The Lab 001」はその影響を受けることがなく、やはり正確な結果を出すことが可能です。
変異ヘモグロビンについて
変異ヘモグロビンはHbA1c値に影響を与えるといわれているにも関わらず、変異ヘモグロビンの存在は見過ごされている傾向にあり、血糖コントロールの判断を誤ってしまう可能性があります。実際のところ日本における変異ヘモグロビンの保因者は3000人に1人程度とはいわれていますが、国内の外国人増加に伴い変異ヘモグロビンの保因者数は増加傾向にあります。 国際的にはこのような現状を踏まえて変異ヘモグロビンの影響を受けない検査方法を行うことが推奨されています。当院ではこの国際的な医療の方向性にあわせて「The Lab 001」を導入し、全ての方に対してストレスがなく、そして正確な糖尿病検査を行えることを目指しています。