胃痛とは
一般的に「鳩尾(みぞおち)」のあたりに起こる痛みを指して使われます。
もっと広く「上腹部の(どこかの)痛み」として使うひともいます。
それぞれを医学用語に置き換えると「心窩部痛」や「上腹部痛」となります。
胃痛とは心窩部痛のことです
「胃痛がすると医者に伝えたら『胃痛なんて言葉はないっ!』と怒られた」という笑えない話、山岡院長が研修医の時代には時々耳にしたそうです。確かに胃痛は医学用語ではないので、昭和の時代にはそんな「昔気質の怖いDr」もいらっしゃったのでしょうね。
確かに「胃痛」という言い回し、実は医師や看護師には馴染みの薄い言葉です。また「心窩部痛」を「胃痛」と表記している医学書や教科書は見たことがありません。
しかし最近になって以前よりも「胃痛」という言葉を患者さんからは聞く機会が増えていると感じます。ちなみに、ずっと以前は腹部の疝痛発作のことを「癪」と呼びました。今ではほとんど耳にしません。言葉ってやっぱり変わるんですよね。
ここでは心窩部痛のことを、分かりやすいように「胃痛(心窩部痛)」と表記して説明していきます。
緊急性の高い胃痛(心窩部痛)とは?
これは「腹痛」の解説ページにある「危険な腹痛の見分け方」を参考にして下さい。
胃痛(心窩部痛)の原因となる病気
ちなみに…「腹痛」には原因になる病気はごまんとあります。そちらについては「腹痛」の解説ページを参照して下さい。
腹痛の中でも、胃痛(心窩部痛)を引き起こす病気となれば「消化器内科の担当範囲」である可能性が高くなります。まずは問診や身体診察で原因を推測し、検査としては採血や尿検査、腹部のエコー検査や内視鏡検査(胃カメラ)、CTなどを駆使して原因を探ることになります。
しかし…実は多くの場合は腹部エコーや胃カメラで確認できる病気ではありません。機能性ディスペプシアなどの「機能性消化管疾患」である場合がほとんどです。
とはいえ「逆流性食道炎と言われてお薬の治療をしていたが、胃カメラをしてみたら実は進行した胃がんが隠れていました」など、検査を後回しにしたがゆえに重大な病気の発見が遅れた事例も経験します。
しっかり検査を行って重大な病気の可能性を否定しておくことが非常に重要になります。
胃痛(心窩部痛)の治療
当然ながら原因によって様々です。例えば心窩部痛の原因が「進行した胃がん」であったとしても、その進行度合いや病状によって手術を選択したり、まずは化学療法を行ったり、場合によっては痛みのケアが中心になったりと方針が大きく違ってきます。
痛みの治療の一歩目は「医師の診察を受けること」です。そして「検査をして、痛みの原因をはっきりさせる」ことです。
消化管の機能的な異常が原因の場合は、「診断的治療」といって「お薬を飲んでみて、その効き具合で診断をする」という方針をとることもあります。
当院の特徴
当院では患者さんの緊急度が高い場合、すぐに胃カメラ・大腸カメラ・腹部エコーや血液検査などの各種検査を行える体制になっています。しかし当院の一番の特徴は「常に専門医が複数人で診療に当たる体制」です。当院では常に消化器領域の専門医がお互いに助け合いながら診療を行っています。腹痛の診療こそ専門医が知恵を出し合って初めて正確な診断にたどり着ける領域だと考えています。