逆流性食道炎

こんな症状の方はお読みください

逆流性食道炎(胃食道逆流症)でお悩みですか?逆流性食道炎の場合、下記のような症状がみられます。

  • 胸やけ
  • 胸のムカムカ
  • すっぱいものが胃から上がってくる感じがする
  • 胸のしみる感じ
  • 胸にピンポン玉がある感じがする
  • 慢性的な咳を患っている
  • 吐血
  • 胃もたれ
  • 心窩部痛
  • げっぷ
  • 胃の膨満感

当てはまる症状はありましたか?逆流性食道炎(胃食道逆流症)の治療を受けたい、逆流性食道炎のことを知りたい方は下記をご覧ください。

また、当院の消化器専門外来に通院される方は直接当院までお越しいただくか下記URLより予約お申込みください。

 

 


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逆流性食道炎(胃食道逆流症)とは

医学的な定義は「胃内容物の食道内逆流によって起こる煩わしい症状あるいは合併症があるものをGERDとする」です。
一般的に逆流性食道炎とよばれるときは「典型的な症状が明らかにある群」と「内視鏡で炎症などがある群」のいずれかがある状態、もしくは両者が存在する状態を指します。
少し話がややこしくなるのは、「内視鏡で炎症がなくても典型的症状がある人たち」と「内視鏡で炎症があるのに無症状の人たち」が存在するからです。
内視鏡で異常が見出せない(炎症が確認できない)が逆流性食道炎の典型的な症状があるものを「NERD」と呼びます。
胸やけ症状があるため内視鏡を受けたら、医師に「食道炎の所見はないよ」と言われて困惑したという話を聞いたことがありますよね。これは「NERD」であり、立派な逆流性食道炎であると言えます。

GERD (ガード): gastroesophageal reflux disease

NERD(ナード): non-erosive reflux disease

逆流性食道炎が疑われる場合は胃カメラ検査を受けましょう

逆流性食道炎(胃食道逆流症)の症状

「胸やけ」が代表的です。「胸やけ」の医学的な定義は「前胸部を中心として起こり、喉へと放散する、焼けるような感覚」です。
「胸のムカムカ」「すっぱいものが上がってくる」「胸のしみる感じ」などの症状を「胸やけ」
と表現する方もいらっしゃいます。これらも逆流性食道炎に特徴的な症状と言えます。
そのほかに「喉のつまり感」「喉にピンポン玉がある」などもよくある症状です。

胸や喉の症状以外には、「慢性的な咳」「気管支喘息への悪影響」などの呼吸器症状があります。「不眠症」への影響も報告があります。なんと食道炎の治療により、不眠症が改善されたとの報告が存在します。歯も解ける可能性があります。歯のエナメル質はpH5.5以下で脱灰・溶解しますので、GERD患者では「歯の酸蝕」も報告されています。「耳の痛み」についても興味深い報告があります。中耳炎患者のなかに、浸出液から胃液の成分(ペプシン)が検出された報告や、逆流性食道炎の治療により慢性中耳炎が改善されたとの報告もあります。同様の報告は「慢性副鼻腔炎」でも存在します。非常に多岐にわたる症状や病気との関連が疑われています。

また食道炎が悪化した場合の症状としては「吐血(血を吐く)」と「狭窄(狭くなる)」があります。非常に珍しい症状ではありますが、消化器内科の医師ならば遭遇した経験があるはずです。
「施設入所中のおばあちゃんが、黒いコーヒーのカスのようなものを吐いた」
「腰の曲がったおばあちゃんが、最近ごはんが詰まると言って困っている」
食道の炎症が強い場合は、軽度の出血を伴うことがあります。出血については非常に重篤な状況に至ることはまれです。しかし狭窄については、重度になると内視鏡的な拡張が必要になることもありますので注意が必要です。

上記の症状と同時に「胃もたれ」「心窩部痛」「げっぷ」「胃の膨満感」などの症状もよく見られますが、これらは逆流性食道炎(胃食道逆流症)の症状というよりは、機能性ディスペプシア(FD)という別の病気の症状として解釈するのが妥当でしょう。
※FD : functional dyspepsia

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GERDの内視鏡分類

改定ロサンゼルス分類が一般的です。これは内視鏡での見た目で「傷の程度」を分類したものです。Gradeは程度の軽い状態から「N」「M」「A」「B」「C」「D」の6段階評価となっています。


  • GERD Grade A


  • GERD Grade B


  • GERD Grade M

日本人の逆流性食道炎(胃食道逆流症)の特徴

海外のデータと日本のデータを比較すると、日本人における逆流性食道炎(胃食道逆流症)の特徴が見えてきます。

  1. 内視鏡の見た目が軽いものが多い
    報告によって割合は様々ではありますが、日本人の場合はロサンゼルス分類N~Bまでの軽症例が多いことが報告されています。

  2. 高齢の女性に多い
    「腰が曲がったおばあちゃん」に逆流性食道炎(胃食道逆流症)の重症患者が多いことが分かっています。これは「前かがみの姿勢」が腹圧を上昇されるからだといわれています。また高齢者では食道の蠕動運動も低下していることも増悪因子です。さらに高齢の女性は「食道裂孔ヘルニア」という病気も持っていることが多いのです。これは胃と食道の境目が大きく開いてしまい、胃が胸のほうに飛び出している状態です。「食道裂孔ヘルニア」があると胃の内容物が、容易に食道に逆流してしまいます。日本の高齢女性に重症の逆流性食道炎(胃食道逆流症)が多くみられることには、いくつかの要因が重なっている結果のようです。

  3. 肥満との関連がはっきりしない
    肥満は腹圧を上昇させますので、肥満の患者さんは「いつも胃が押されている」と言えます。 また肥満患者では食道の下部の圧力が一過性に低下するイベントが起こりやすく、胃の内容物が食道へ逆流しやすいことも分かっています。「一過性下部食道括約筋弛緩」といわれています。諸外国の報告では明らかに肥満と逆流性食道炎(胃食道逆流症)の相関関係が指摘されています。しかし日本人を対象とした報告では肥満と逆流性食道炎(胃食道逆流症)の関連について否定的な報告が多いのです。よくわかってはいませんが
    ・日本人の逆流性食道炎(胃食道逆流症)は「NERD」がほとんどであること
    ・「NERD患者」に限っていえば海外の報告でも肥満との関連ははっきりしないこと
    などが理由ではないかと言われています。
    最近ではGERDとNERDの病態の違いについても研究が進んでいるようです。

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逆流性食道炎(胃食道逆流症)を悪化させる因子

胃と食道の境目の圧力が、胃の内圧よりも低くなると、胃の内容物が食道に逆流することになります。この両者のバランスを崩す因子が、逆流性食道炎(胃食道逆流症)の増悪因子となります。ちなみに下部食道の括約筋の圧力のことをLES圧といいます。
※LES : lower esophageal sphincter

喫煙

最近はどの分野でも悪役の「タバコ」です。
喫煙した際、ニコチンの血中濃度が上昇するとLES圧が低下するとの報告があります。
その結果として、胃内の内容物が食道に逆流し逆流性食道炎の症状を悪化させることになります。しかし、喫煙でLES圧が低下しなかったとの報告もあり実は一定の見解は得られていません。

 

アルコール(飲酒)

これも「たばこ」とならんで、診察室で家族内の押し問答が繰り広げられる代表的な嗜好品です。「先生からも夫にアルコール(飲酒)はダメだ」と言って下さい!という奥様の叫びは診察室でよく耳にします。
アルコールはタバコと違い、いくつもの増悪因子を有します。

  • 食道に対して直接刺激になり、食道の過敏性を上げる。
  • ガストリンという消化管ホルモンを分泌させ、胃酸の分泌を多くする。
  • LES圧を低下させる。
  • 食道の蠕動運動を低下させて、食道に内容物が長くとどまる。
    さらに胃から逆流した内容物が、なかなか胃に戻りにくくなる。

残念ながら、奥様の叫びは正解だと言わざるを得ません。
アルコール摂取(飲酒)は逆流性食道炎の症状を悪化させる代表的な因子です。

高脂肪食

脂肪には「コレシストキニン」という消化管ホルモンを小腸から分泌させる作用があります。
コレシストキニンはLES圧を低下させることが分かっています。

チョコレート

チョコレートに含まれる「メチルキサンチン」が食道のLES圧を低下させることが分かっています。含有される脂肪分よりもメチルキサンチンの影響が大きいことも判明しています。

コーヒー

「これは…コーヒーに含まれるカフェインか??」と思った方は残念でした。カフェインはLES圧を低下させないとされています。コーヒーは報告によってLES圧に対しての効果が異なります。LES圧を低下させて、逆流性食道炎を悪化させるとの報告はあります。逆にLES圧を上昇させたとの報告もあります。コーヒーの影響は現状の医学・化学では解明されていないのが現状です。新たにコーヒーを飲む習慣ができてからGERD症状が悪化した方は、悪化の原因としてコーヒーを疑ってみてもいいかもしれません。

炭酸飲料

炭酸飲料はLES圧を低下させて、逆流性食道炎を悪化させることが知られています。また「おくび(げっぷ)」も誘発しやすく、胃の内容物の逆流を招きます。

薬剤

血圧の薬の一部(カルシウム拮抗剤)や精神安定剤(ベンゾジアゼピン系の薬剤)などは
LES圧を低下させ、逆流性食道炎を悪化させる可能性があります。

過食

胃の内容物が多くなると、一過性にLES圧が低下することが分かっています。
過食もGERDの増悪因子のひとつです。

柑橘類・香辛料

これらは食道の粘膜を直接刺激することにより、胸やけ症状を悪化させるとされています。

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逆流性食道炎(胃食道逆流症)とピロリ菌の除菌

ピロリ菌の除菌を行うと10%前後のひとで逆流性食道炎(胃食道逆流症)が悪化すると報告されています。
除菌後の逆流性食道炎は下記の特徴があります。

  • 軽症で済むことが多い
  • 一過性であることが多い
  • 自然にGERD症状は消失することもある
  • 逆にGERD症状が改善するひともいる

ですので、GERDの悪化を心配してピロリ菌の除菌を行わないのはお勧めできません。

さらに「除菌前の胃粘膜の萎縮の程度」によって、除菌後の胃酸の分泌状況に違いが出ることも分かっています。

胃体部(入り口側)までピロリ菌の影響があるひと

除菌後は胃酸の量が多くなり、半年前後でピロリ菌がいないひとと同レベルになります。
一過性にGERD症状が悪化するのは、このタイプの人たちだと考えられます。

門前庭部(出口側)にしかピロリ菌の影響がないひと

元々、非常に胃酸が多いひとたちです。除菌をすると半年前後で胃酸の分泌が低下します。
除菌後に逆流性食道炎が改善したとの報告があるのも頷けます。

胃全体の粘膜がピロリ菌により荒廃しているひと

元々、非常に胃酸が少なくなっている人たちです。除菌後に徐々に胃酸の分泌量は上昇しますが、元々ピロリ菌がいない健常人のレベルまでは回復しないといわれています。

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当院の逆流性食道炎(胃食道逆流症)治療

当院では消化器内科クリニックとして、逆流性食道炎(胃食道逆流症)を専門的に治療しています。逆流性食道炎の疑いがある方はいつでもご来院ください。また当院の消化器専門外来は24時間ネット予約も可能です。予約を希望される方は下記予約ページよりお問い合わせください。

 


また、当院の逆流性食道炎(胃食道逆流症)の治療方法は下記の通りです。

逆流性食道炎(胃食道逆流症)の薬物治療

プロトンポンプ阻害剤という胃酸を抑える薬剤の投与が基本になります。
プロトンポンプ阻害剤の投与であれば、80%前後のひとで症状が消失すると報告されています。確かに実際の使用感も効果は高い印象です。
プロトンポンプ阻害剤にはいくつかの弱点が知られています。特に問題になるのが夜間の酸分泌を抑えきれないことがある点です。そのためH2ブロッカーをいう別の作用機序の制酸剤を夜間にプラス投与すると、逆流性食道炎の症状がさらに改善するひとが存在することも知られています。しかし、プロトンポンプ阻害剤とH2ブロッカーの同時併用は(効果があるにも関わらず)、残念ながら保険診療では(原則的には)認められていません。

 

内視鏡検査

逆流性食道炎(胃食道逆流症)の典型的な症状である「胸やけ」や「つまり感」は食道がんや胃がん(噴門部がん)でも認めることがあります。逆流性食道炎の診断時には、まずは内視鏡検査を行うことをお勧めします。また食道炎の重症度の評価や、狭窄(狭くなること)などの合併症の有無の確認にも内視鏡は重要です。
逆流性食道炎からのバレット上皮やバレット食道など、食道腺がんの発生する母地の有無も胃カメラ(内視鏡)で定期的に確認しましょう。この内視鏡写真には「早期のバレット食道がん」がはっきり捉えられていますね。画面の1時方向です。この段階であれば内視鏡による切除で根治が望めます。

 

逆流性食道炎(胃食道逆流症)の外科的治療

腹腔鏡での噴門部形成術を行います。
手術を考慮する必要のある逆流性食道炎(胃食道逆流症)は下記のようなものです。

  • プロトンポンプ阻害剤で効果が得られない症例
  • 狭窄や出血を伴う症例
  • 誤嚥性肺炎などを繰り返す症例

しかしながら、手術まで必要なひとは非常にまれです。
※対応可能な医療機関をご紹介致します

仙台消化器・内視鏡内科クリニックの消化器専門外来

仙台消化器・内視鏡内科クリニックでは逆流性食道炎(胃食道逆流症)に限らず、お腹のこと(消化器)でお悩みの方向けに消化器専門外来を実施しております。
ご希望される方は直接当院までお越しいただくか予約ページより予約をされてください。

些細なことでも構いません。いつでもご遠慮なくご来院いただければと思います。

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