胃カメラ検査の際に麻酔を使うメリット
当クリニックで行う胃カメラは鎮静をして行うことがほとんどです。それには理由がしっかりあります。鎮静を行うことによって、患者さんの胃カメラでの苦しさを減らすことができ、この苦しさを減らすことが大きな目的で使用しています。鎮静を行わないで胃カメラ検査を行うと、苦しさがそのままトラウマになってしまう可能性もありますし、定期的な検査のためにも鎮静が必要です。 反対に、医師側のメリットとしては体動がなく、じっくりと観察に集中できることがあげられます。
当院で扱う鎮静剤:プロポフォールとミタゾラム
鎮静剤には大きく2種類あります。当院では主にプロポフォールという鎮静剤を使用しています。大豆・卵アレルギーのある方はプロポフォールが使えないため、ミダゾラムという鎮静剤を使用しています。2つの鎮静剤の効き目には大きな差があります。プロポフォールの方が効き目が早く、肝臓や腎臓など多臓器から代謝が行われるため、鎮静剤の効果が抜けるが早いのが特徴です。そのため、内視鏡検査後眠っている時間がミタゾラムに比べて短く済みます。 プロポフォールの場合15分~20分ぐらいで目覚めます。これに対してミダゾラムの場合は、30分以上、場合によっては1時間ぐらい眠られる患者さんもいます。ミダゾラムの方がプロポフォールに比べてふらつきや眠気が長く続く印象です。 どちらの鎮静剤も基本的にはぐっすり眠っている間に検査が終わるので、その点は両方とも安心していただいて大丈夫ですが、ミダゾラムの場合は量のコントロールも少し難しいところがあり、ごく稀に眠れないとおっしゃる方もいます。 厳密には他の鎮静剤もありますが、当クリニックではプロポフォールとミダゾラム以外には使用しておりません。
胃カメラ検査で鎮静剤を使わなかったときのメリット・デメリット
もし胃カメラ検査を鎮静剤を使用しないで行うとなった場合、メリット・デメリットがそれぞれあると思います。 メリットとしては、患者さんは起きた状態で、胃カメラを行うことになりますので、自分の食道や胃の画像をリアルタイムで見ることができます。 デメリットとしては、反射が抑えられず、人によってはその苦痛がトラウマになり、定期的な胃カメラ検査をご希望されない患者さんがいらっしゃいます。 当院ではほとんどの患者さんは鎮静剤を使用して検査を受けています。基本的にプロポフォールに対して重篤なアレルギーの既往がない方は、安全に使用できております。ただ、元々呼吸筋の低下や、基礎疾患のある方、ご高齢の方などは担当医師と相談を行い、鎮静剤投与の有無を決めることが多いです。 この2種類の鎮静剤の副作用について説明します。鎮静剤投与によって、酸素濃度の低下や血圧低下の可能性があります。また、非常に稀ではありますが、プロポフォール、ミダゾラムいずれも、薬剤のためアナフィラキシーショックが起きる可能性もゼロではありません。その際にはクリニックで常備している緊急時の酸素投与や薬剤を投与して対応を行います。
文章 ~医師 中川~