胃カメラ検査の際、カメラを鼻から入れるか、口から入れるかの2パターンの方法があります。 鼻からカメラを入れる場合は、口と比べて通り道が狭いため、細いカメラを使います。違和感は多少ありますが、吐き気を催すことは少ないです。細いカメラは、太いカメラと比べると画質が劣ってしまうのがデメリットになります。 胃カメラ検査の苦痛に対して不安が強い方、口からの検査が辛かった方などは、鼻からの検査を希望されることが多いです。 口からカメラを入れる場合は、細いカメラでも太いカメラでも選ぶことができます。口からカメラを入れようとすると、カメラが舌の付け根に触れます。その際、「オエッ」と反射が起きてしまうのが、苦しさの原因です。一方で、画質のよい太いカメラで検査をおこなえるので、異常の見落としが少ないのはメリットといえます。 鼻炎などで鼻の通り道が狭い方は、カメラが擦れて出血するリスクがありますので、口からの検査になることもあります。 一般的には鼻からの検査の方が苦痛は少ない傾向にあるものの、苦痛の感じ方にも個人差があり、口からの方が楽だったとおっしゃる方も少なくはありません。 どちらの方法にもメリットとデメリットがあります。

鎮静剤を使って、眠って検査を受けるという選択肢もあります。 眠って検査を受ける最大のメリットは、苦しさを感じないという点です。画質のよい太いカメラを使いつつ、喉・食道・胃・十二指腸などをじっくり観察することができます。鼻から細いカメラを使う場合には、そもそもの画質が劣りますので、鎮静剤を使うメリットはほとんどありません。 鎮静剤を使う場合でも、鼻から・口からを選ぶことはできますが、基本的には口からの検査をおすすめしています。 鎮静剤を使う場合、検査後は車の運転を控えていただく必要があります。お仕事の都合などで運転が必要な場合には、鎮静剤を使えません。薬のアレルギーをお持ちの方も、事前にご相談が必要です。

せっかく検査をするのであれば、苦痛の少なさも大切ですが、異常がないかしっかりと確認できることも重要です。 医師として、一番患者さんにとってよいのは「鎮静剤を使って、口から検査をする方法」だと考えています。食道や十二指腸を観察する際、内部のヒダを広げて細かなところを見るために、空気を入れて膨らませる場合があります。この場合、起きたままだとどうしてもお腹の張り・圧迫感を感じることが避けられません。 鎮静剤を使えば、画質のよい太いカメラを使いつつ、眠って苦痛のない間にしっかり時間をかけて観察でき、見逃しが少なくなります。そういった理由から、「鎮静剤を使って、口から検査をする方法」がよいと考えています。

文章　～医師　岩崎～