内視鏡コラム 【鼻からできる胃カメラ検査】
皆さん、こんにちは。
仙台消化器・内視鏡内科クリニック院長の山岡です。
今回のコラムでは、鼻からスコープを挿入する<経鼻内視鏡検査>についてお話をしていきたいと思います。
鼻からの内視鏡検査ってなに?
胃カメラ検査には鼻からスコープを挿入する<経鼻内視鏡>と、口からスコープを挿入する<経口内視鏡>の2種類があります。
従来は胃カメラ検査といえば経口で行うことが一般的でした。ですが、経口からの胃カメラ検査では舌の根に内視鏡が触れてしまうことで、咽頭反射(嘔吐感)が引き起こされます。これにより、吐き気や苦痛が伴うことで「苦痛な胃カメラ検査」になってしまうのです。これが胃カメラ検査が苦しいイメージを持たれる原因ですね。
そこで、患者さんの負担軽減のために考えられたのが、経鼻内視鏡検査です。
経鼻内視鏡検査では、鼻からスコープを通すことで咽頭反射(嘔吐感)が起こることなく検査を受けることが可能です。「おえっ」とするのが苦手という方にとっては、お勧めの検査方法です。
経鼻内視鏡検査のメリット
経鼻内視鏡検査には以下のようなメリットがあります。
メリット①<咽頭反射が起こらない>
上述の通り、経鼻内視鏡検査では鼻からスコープを通すため、咽頭反射を起こすこと無く比較的楽に検査を受けることが可能です。
メリット②<医師とのコミュニケーションを図れる>
経口での胃カメラ検査では喉に局所麻酔を行うため喋ることが困難となります。そのため、検査を受けている最中は医師とのコミュニケーションを図ることはできません。
ですが、経鼻内視鏡検査では喉に麻酔を施さないため、医師とのコミュニケーションを図ることができ安心して検査を受けることが可能です。
メリット③<車で来院できる>
経口での内視鏡検査では、咽頭反射の負担を軽減するために鎮静剤を使用することが多いです。鎮静剤を使用した後の車の運転は非常に危険なので、その場合には他の手段での来院が必要となります。
ですが、経鼻内視鏡検査では鎮静剤を使用せずに検査を実施することができるため、車で来院・帰宅して頂くことが可能です。
経鼻内視鏡検査のデメリット
経口からの胃カメラ検査と違い、咽頭反射を起こすことなく検査を受けることが可能になったとは言っても、経鼻内視鏡検査にも勿論デメリットはあります。
デメリット①<痛みを感じやすい>
経鼻内視鏡検査では鼻腔内にカメラのスコープを挿入していきます。狭い鼻腔にスコープをとしていかなければならないので、痛みを感じやすいということがデメリットの一つして挙げられます。
デメリット②<内視鏡が擦れて出血する>
一つ目のデメリットにも関連しますが、経鼻内視鏡は狭いかつ粘膜が薄い鼻腔内にスコープを挿入するため、擦れにより粘膜が傷つき出血を起こす場合があります。
デメリット③<画質が落ちる>
少しマニアックな話になりますが、経鼻内視鏡検査の画質は経口内視鏡検査の画質と比較すると若干質が落ちると一般的には言われています。これは、口から挿入するよりも細いスコープを使用するためですね。 勿論、観察を行う上で障害になる程ではありませんが、内視鏡医としては画質は良いに超したことはありません。なので、経口内視鏡検査に比べて画質が劣るというのも一つのデメリットと言えます。 ただ、この問題点は技術の進歩によって近年解消されつつあります。事実、オリンパスの最上位機種内視鏡システムでは、経鼻スコープであっても高画質が実現されており、その質は経口スコープに遜色がありません。
※当院ではオリンパスの最上位機種内視鏡システムを使用しているので、③の画質的な問題は発生しません。
結局、経鼻内視鏡と経口内視鏡のどっちがいいの?
このように2つの検査方法がある場合には、「結局どっちで検査を受ければ良いの?」と悩んでしまう方も多いのでは無いでしょうか。
では一度、経鼻内視鏡検査と経口内視鏡検査の特徴を簡単にまとめてみましょう。
簡単に表すとこんな感じですね。それぞれ良い点もあれば悪い点もあります。
では、最終的な結論で私がお勧めする検査方法はどちらなのかと言うと、それはズバリ、、、
<鎮静剤を使用した経口内視鏡検査!>
この方法が一番患者さんにとってメリットが大きい方法だと思います。
鎮静剤を使用しなかった場合、経鼻内視鏡検査であれば鼻からスコープを入れるため痛みを感じやすいですし、経口内視鏡検査であれば咽頭反射が起こり苦しくなってしまいます。 つまり、どちらの方法であっても鎮静剤を使用して眠っている状態で検査をしてあげた方が患者さんは楽なのです。
鎮静剤を使用し、眠っている状態で苦痛を感じずに検査を受けることが可能なのであれば、画質も良くしっかり観察できる経口内視鏡検査の方が良いよね。となる訳です。
よって、結論としては<鎮静剤を使用した経口内視鏡検査>が最も理想的な検査方法であると私は考えています。
皆さん、今回のコラムはいかがでしたでしょうか。
実際に皆さんが胃カメラ検査を受ける際には、参考にして頂けると非常に嬉しいです。
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう!!