仙台消化器内視鏡内科クリニックの大腸癌治療
大腸癌の治療は内視鏡治療、外科的切除(手術)、抗がん剤治療が治療の3本柱です。
内視鏡治療(ESD)
早期大腸がんは内視鏡治療を選択することが多くなってます。
1990年代後半に開発された「内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD」は
画期的な治療法でした。小さな電気メスを内視鏡の先端から出して、癌の存在する
粘膜層のさらに1つ下の層(粘膜下層)を、丁寧に剥離してしまうのです。
これによりサイズの大きな癌も、内視鏡で一括切除が可能となりました。
再発率が非常に低くなり、なおかつ癌の進行度も正確に判定することができるように
なったのです。
ESDは胃がんを対象に開発され、2000年代前半には爆発的に普及しました。
しかし、大腸のその治療難易度から当初は先進医療として一部医療機関でのみ行われていたのです。大腸は胃に比べて、消化管の壁が薄いので穿孔(孔があく)しやすいのです。
2012年4月なり、ようやく保険収載されました。しかしながら、執刀医は専門医であることや胃がんESDの治療径件数の要件を満たす必要があることなど、日本では珍しく「足かせつき」の保険収載でした。院長はこの大腸ESDを得意とします。院長も実感として「ESD手技の習得ですが、大腸に関しては(胃がんとは異なり)医師の努力と才能が試されるのでは」と考えているようです。
外科的切除(手術)
また進行がんで、なおかつ切除が可能な範囲に限定した転移であれば外科的切除を行います。肺や肝臓といった他臓器に転移がある場合も、状況によっては手術で全てを切除する
方針になることがあるのです。ここは胃がんや食道がんとの大きな違いになります。
また最近では、腹腔鏡下での切除も選択されることが多くなっています。
炭酸ガスでお腹を膨らませて、お腹に開けた孔から電気メスやカメラを差し込み癌を切除する方法です。傷も小さく、術後の痛みも少なく、入院期間も短いことなどが特徴です。
こちらに関しては当院の主治医が適切な医療機関先をご紹介させていただきます。
化学療法
化学療法は抗がん剤治療のことです。
手術前や手術後に行うこともありますし、大腸がんが進行しており手術では対応できないときに選択することもあります。化学療法が高い効果を示した際には、手術を行うということもあります。
大腸がんの化学療法は、胃がんや食道がんに比べて使用できる薬剤の選択肢が多く、研究も進んでいる分野です。以前のように消化器内科や消化器外科の医師が化学療法を行うこともありますが、化学療法の専門家である「腫瘍内科」の医師に治療をお任せするケースも多くなってきています。
そもそも大腸がんとは
大腸に発生した上皮性の悪性腫瘍のことをいいます。
癌の部位別死亡率で、女性においては不動の1位です。
「進行がん」「早期がん」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
粘膜から発生した癌が、深い層へと染み入るように進行し(浸潤といいます)、
筋層まで到達すると「進行がん」と呼ばれるようになります。
この分類法は胃がんなどと同様です。
大腸がんは、一般的には検診(便潜血の陽性反応)を契機にして精密検査を行い、
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行うことで診断が確定します。
人間ドックなどで測定する腫瘍マーカー(CEAなど)は、進行がんでも半数程度にしか上昇は認められず、大腸がんの早期発見にはつながらないことが分かっています。
大腸がんのリスク因子について
大腸がんのリスクを上昇させる因子はいくつか知られています。
生活習慣などでは、肥満や高身長でリスクがあがります。喫煙もそうですね。
食生活では、飲酒や赤身肉(牛・豚・羊など)の摂取などです。
また一時期話題にもなりましたが
加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコン)の摂取もリスクを上昇させると報告されています。
大腸がんのリスクを低下させる因子もあります。
運動習慣は確実なリスク低下因子とされています。
食事ではカルシウム、牛乳、ニンニク、また食物繊維の摂取は大腸癌リスクを低下させることが確実視されています。
しかしながら、最もお勧めは「検診」をきちんと受けること、です。
また40歳を目安に人間ドックで大腸カメラを受けることもお勧めできます。
大腸がん検診 ~日本と世界~
世界では、大腸癌で死亡するひとは全ての癌での死亡者のうちの8.5%(4位)を占めます。大腸がんは世界的にみても、非常に重要な疾患であると言えます。
そのため世界中で様々な対策が行われている癌なのです。
近年、大腸がんの死亡率を半分にすることに成功した国があります。
アメリカです。
アメリカでの大腸癌の死亡率はピークから約50%も減少しています。
これは恐るべき数字だと思います。
また罹患数(大腸がんになるひと)も著明に減少しているのです。
それに比べて日本などでは、1990年代から僅かながら、減少傾向にある程度です。
「アメリカの医者は手術が上手だから」
「抗がん剤治療が進んでいるから」
「日本人は存在しない、先進医療があるのでは?」
などと思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが、違います。
診断されてから5年後の、年齢調整生存率の報告をみると
日本は64.4%であるのに対して、アメリカは64.7%とほとんど違いがありません
(2005-2009年診断群)。
検診システムの違いが、この大きな違いを生んでいると推測されています。
アメリカの国内でも、検診受診率が高い東海岸や西海岸で死亡率の低下が顕著なのです。
アメリカでは大腸内視鏡(大腸カメラ)による大腸がん検診が普及しはじめています。
2000年には19%であった大腸カメラによる検診は、2010年には55%と大幅に増加しました。
また2010年のオバマケアによって大腸内視鏡(大腸カメラ)による検診はすべての保険者へ無料化が促進されました。
アメリカでの成功事例を見ると、「検診システム設計の重要性」を再認識されられます。
日本で行われている便潜血法による検診も素晴らしいものではありますが、
その限界点などは認識しておく必要があります。
現時点では、大腸カメラ(大腸内視鏡)をオプションで用意している人間ドックなどを
上手に活用する必要があると考えています。
当院では人間ドックとしての、胃カメラ(上部消化管内視鏡)・大腸カメラ(下部消化管内視鏡)も行います。興味のある方は、ご相談下さい。
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