2020年8月31日にオリンパスからAI診断システムが発売されます。当院でも発売日から試用することにしました。
製品の売りは2つです。
《リアルタイムに病変検出をサポートするEndoBRAIN-EYE》
《リアルタイムに腫瘍/非腫瘍の鑑別をサポートするEndoBRAIN》
この2つの機能で、大腸カメラ中の「ポリープ検出」と「ポリープの質的な診断」を支援するとのことです。
EndoBRAIN-EYEの感度は98.3%、特異度は93%。
EndoBRAINの正診率は96.0%、特異度は96.9%
この数字だけみると大変すばらしいと感じます。
内視鏡医はスポーツ選手に近い職種だと思います。一般の患者さんが考えているよりもずっと若いときに能力のピークを迎える職種です。スーパーなベテラン医師もいらっしゃいますが、年齢の壁を越えることができるのは、本当にごく一部の限られた「選ばれし医師」のみです。医師も例外なく、みんな老いるのです。42歳の僕も例外ではありません。
AIによる診療支援の普及が進めば、医師の能力差や経験値の差、老化(動体視力や瞬発的な診断力の低下)などを補ってくれるはずです。AIは先進医療機関に在籍するような、若くて、学習意欲も旺盛で、経験値も早くから蓄積できる医師には、、必要はないでしょう。しかし一般の患者さんの内視鏡検査を担うのは上記のような医師ではない。AIによる診療支援の普及は日本の内視鏡診断の質を底上げし、胃がんや大腸がんで亡くなる人を必ず減少させるはずです。僕はAIによる画像診断支援システムにそんな夢を感じます。
しかし今回の製品には問題があり、当院での即時導入は見合わせました。
①オリンパスの最新内視鏡システムである「EVIS X1」には対応していないこと。
(※当院はEVIS X1を宮城県で唯一導入しています)
②市中の内視鏡医に対して情報が十分に提供されていないこと。これはどの程度の病変のサイズを対象にしているのかなどの重要データを把握しないと、導入するかどうかの判断は出来ません。
しかしながら2020/8/31からの試用が楽しみです。ワクワクします。
EndoBRAINを実地医療の現場で評価し、早期導入をするのかを決めたいと考えています。
院長 山岡肇