新型コロナウイルスの感染拡大は「がんの早期発見」の機会を奪います。今日の朝刊で目にした記事は、僕たち臨床医が懸念している危険を見事に代弁してくれていました。
本日の読売新聞 朝刊の一面に「日本対がん協会 垣添忠生会長」の見解が紹介されていました。抜粋します。
~記事の抜粋~
心配なのは、新型コロナの感染拡大とともに、がん検診が激減していることだ。今年3月ごろから各支部でのがん検診は減り始め、4-5月には検診受診者がほぼ10分の1に落ち込んだ。がん検診を一時中止した自治体もあるという。《中略》ここにきて、がん検診を行う医療機関や自治体は増えてきたが、それでも日本対がん協会グループによる今年度のがん検診は例年の3-4割減が見込まれる。単純計算で4000-5000人が、がん発見の機会をうばわれてしまう。
~抜粋終わり~
ここで指摘された発見しえないがん患者さんは4000-5000人ですが、これは「対がん協会だけでの試算」だというのことが怖いのです。いったい日本全体ではどのぐらいの人数になってしまうのか。。コロナ感染で命を落とす人数よりもずっと多くの人々が、がんで亡くなることになるでしょう。本来は発見されたはずのがんで。
新型コロナの終息はまだ見えてきません。2020年からは意識の変革が必要です。検診任せにしない、自身による健康管理が重要になります。
特に胃がんや大腸がん、食道がんなどの消化器癌は、予防も可能ですし初期で発見できれば完治が望めるがんです。
体調のわずかな変化を放置せずに、それを「きっかけ」や「虫の知らせ」とプラスにとらえて積極的に内視鏡検査を受けて下さい。
そもそもバリウム検査や便潜血ではがんの検診としては理想と言えません。今回のコロナでの検診の中止や延期をぜひとも胃カメラや大腸カメラを受けてみる良い機会だと捉えて下さい。