ノロウイルス
冬場に集団発生する嘔吐下痢症の代表的な原因ウィルスです。
ノロウイルスの感染経路は経口感染です。二枚貝の非加熱での摂取、とくにカキからの感染は有名ですね。
ウイルス粒子が10-100個あれば感染が成立すると言われるほどの強力な感染力を持ちます。ですので、吐物などで汚染された環境との接触や、飛沫感染、お風呂やプールなどでも感染する可能性があります。
潜伏期間は12-72時間です。
ノロウイルスによる感染性腸炎の主な症状は下痢と嘔吐です。腹痛や筋肉痛、倦怠感なども見られることがあります。
特に嘔吐は「噴水様」とも表現されるほど強烈なことがあります。これらの症状は2-4日ほどで消失することがほとんどですが、脳炎や嘔吐による窒息などから命にかかわることもあります。
ノロウイルスの診断です。
家族内で子供だけではなく、大人にも嘔吐と下痢が出現した際や、病院内や施設内での感染拡大などが起こった場合はノロウイルスが原因である可能性があります。
またロタウイルスの迅速検査で陰性だった際はさらに可能性が高いといえます。
便を検体として行う、イムノクロマト法による迅速診断法を行えば約15分程度で検査可能ですが、当院では外注対応のため、結果は後日となります。
しかしながら、この検査は「3歳未満および65歳以上」の患者さんのみ保険診療で行うことが可能です。
治療についてです。
ノロウイルスに特異的に効果を発揮する薬剤はありません。
嘔吐や下痢といった症状に対して、対症的な治療を行うことになります。
またノロウイルスは消毒にも抵抗性です。クロルヘキシジンや両性界面活性剤では不十分とされます。
グルタラールや過酢酸、フタラールなどの高水準消毒薬が必要となります。